あらすじ
滅亡した祖国の代償として、亡国の王子フェリクスは”処刑人”ギルベルトのもとへ人質として引き渡される。政敵も反逆者も、慈悲なく葬ってきたと噂される男。だが屋敷での日々は、拍子抜けするほど穏やかだった――穏やかすぎて、逆に恐ろしいほどに。
微笑みを崩さぬまま人を裁く男の底知れなさに怯えながらも、フェリクスは決して媚びず、意志を曲げなかった。その頑なさに、ギルベルトは初めて”興味”を抱く。
甘やかされるほどに募る違和感。優しさの奥に潜む、いつ牙を剥くか分からない危うさ。それでもフェリクスは、この檻から出ていくことを選ばなかった――
殺されるはずだったのに、なぜか誰よりも大切にされている。狂気と紙一重の溺愛譚。