あらすじ
豪商の夫ダルセーノから身に覚えのない横領の濡れ衣を着せられ、着の身着のままで離縁されたティルディス。
路頭に迷う中、偶然再会した独身の幼馴染キリクスに心配をかけまいと「私は今とても幸せ」と強がりの嘘をつく。
キリクスは寂しげに「幸せなら良かった」と告げて去った。
だが現実は過酷だった。所持金を奪われ、生きるために裏街でスリに手を染め、追っ手に追い詰められて泥水の中で息絶えそうになるティルディス。
そこへ駆けつけたのは、血相を変えたキリクスだった。
「それの何処が幸せなんだ!」
嘘も罪もすべて知られ、失望されると震えるティルディスを、彼は涙を流しながら強く抱きしめる。
「こんな辛いとき、側にいてやれなくて本当にごめん。あんな男の十倍、百倍、お前を幸せにする!」
冷酷な元夫への意趣返しと、不器用で一途な幼馴染との温かな再生を描く、身代わり令嬢ならぬ路頭の元妻の純愛奇譚。