あらすじ
親友が死んだ。
その葬式で、明澄幸太郎は、親友の母親から一本のゲームソフトを手渡された。
「それを進だと思って、コウ君の好きにして」
ゲームなどほとんど触ったことのない幸太郎だったが、亡き親友が最後に遊んでいた世界を覗いてみることにする。
そこで彼を助けてくれたのは、〈ハル〉と名乗る一人のプレイヤーだった。
ゲームの中と現実とのギャップに悩まされる16歳の少年、北神明。
片や、何事にも慎重で、自分のことは後回しにして生きてきた38歳の男。 片や、人付き合いが怖いくせに、誰かと繋がることを諦めきれない16歳の少年。
一見対になって見える二人は、その実よく似ている部分も多かった。ゲームの中で共に歩き、戦い、他愛もない話をするうちに、少しずつ互いのことを知っていく。
そして幸太郎がゲームを通して見つけていくのは、亡き親友が残した、奇妙でアホらしく、それでも魅力に満ちた数々の痕跡だった。
それらを辿った先で、二人はそれぞれの過去と向き合うことになる。
これは、世界の色を失った二人の男が、 ひとつのオンラインゲームを通して出会い、 ほんの少しだけ、自分自身の人生を取り戻していく――
そんな、ある夏の一幕。