あらすじ
瀬戸内海の小さな漁村には、昔から人魚がいた。
漁師の灯(とう)が海から戻ると、岩場ではいつも、最後の人魚・うたかたが待っている。
売り物にならない魚を分けてもらい、海の話と人間の暮らしの話をして、また明日と別れる。
そんな穏やかな日々を、二人は当たり前のように重ねていた。
人魚は長い時を生き、人間の命はあまりにも短い。
人間の身体は熱く、冷たい海に生きる人魚とは触れ合うことさえ難しい。
それでも互いを想うようになった二人は、やがて気付く。
――もう、互いでないとだめなのだと。
最後の人魚と、海辺に生きる漁師。
二人と小さな村の人々が紡ぐ、少し不思議であたたかな恋の物語。