あらすじ
空に浮かぶ島々を、郵便船が行き交う世界。
十九歳の新米郵便士リコは、故郷の島の名で手紙が届く日を夢見ている。知らない町へ行くことも、旅先のおいしいものも、もちろん楽しみだ。
相棒は、道具の手入れには細かいくせに、自分の休みには無頓着な航路修理士ナギ。パンと手紙を運び、出会った人の食卓に招かれながら、ふたりの仕事は始まった。
ある日、使われていない仕分け口から、一通の手紙が届く。
『あした、町ができます。手紙を届けにきてください。ミチ』
添えられたのは、地図にない町の絵。日付は、去年の秋だった。
この町で、今も返事を待つ人はいるのだろうか。
届けたい一心で急ぐリコと、帰り道まで確かめたいナギ。すれ違い、ときには周りの手を借りながら、ふたりはまだ知らない暮らしへ続く航路を探す。
届けるたびに出会う、人の優しさと、それだけではうまくいかない日々。
笑いとほろ苦さ、まだ恋と呼べない想いを乗せて進む、空の冒険ファンタジー。