あらすじ
政治記者・鷹瀬晃臣、三十五歳。
かつて政権を揺るがすスクープをものにした彼も、今では十年以上、大きな特ダネから遠ざかっていた。
そんな中、匿名掲示板に投稿された一つの書き込み。
「明日、閣僚が緊急会見を開く」
翌日、その予告は現実になる。
偶然か。
内部情報を知る何者かがいるのか。
やがて匿名の「予告」は、政治家の辞任、隠された疑惑へと踏み込み始める。
報道機関が追い、SNSが拡散し、人々は断片的な情報からそれぞれの「真実」を作り上げていく。
鷹瀬と後輩記者・真柴紗季もまた、情報の出所と原本を追い始める。
誰が最初に知っていたのか。
誰が最初に書いたのか。
そして、その情報は本当に正しかったのか。
しかし、真実を暴くことと、真実を正しく扱うことは同じではない。
一つの投稿。
一本の記事。
一度の拡散。
それらが政治を動かし、世論を変え、やがて誰かの日常を壊していく。
これは「誰が予告したのか」を追うだけの物語ではない。
なぜ、その人間はそれを書いたのか。
反証を知ったあとも、なぜ止まれなかったのか。
そして。
真実を知った者は、その先に起きることまで引き受けなければならないのか。
政治、報道、SNS。
それぞれの正義が連鎖していく現代日本を舞台に描く、政治クライムサスペンス。