あらすじ
「触れるだけで霊薬の魔力を消し去る役立たず」
生まれつき魔力波長を持たない見習い調合師のアリアは、筆頭薬師にすべての罪を擦り付けられ、王都の中央研究所から追放されてしまう。
絶望し、薄暗い地下牢で処刑を待つ彼女の前に現れたのは、冷酷無比と恐れられる北方の守護者、レオンハルト・アルスヴァン辺境伯だった。
「私と、三ヶ月の契約を結んでもらう」
提示されたのは、彼の専属調合師となり、対外的な「偽装婚約者」として振る舞うという破格の条件。
自分の力など役に立つはずがないと怯えるアリアだったが、北方の過酷な砦で兵士たちを救ううち、彼女の「魔力を無に還す力」こそが、奇跡の調合技術であったことが明らかになっていく。
温かい居場所と、不器用ながらも優しいレオンハルトに惹かれていくアリア。
しかし、約束の三ヶ月は刻一刻と迫っていた。
身代わりの役目を終え、ひっそりと彼のもとを去ろうとするアリアだったが……彼女は知らなかった。
この偽装婚約が、八年前から彼女を探し続けていた黒竜騎士の、執着に満ちた包囲網であったことを――。
これは、誰にも愛されなかった不発の薬師が、最高の居場所と真実の愛を手に入れるまでの、温かくも甘い雪解けの物語。