あらすじ
「言っておくが、これは下着の物語ではない。魂のフォーメーションだ」
世界地図がデリートされた終末世界。人類が手に入れたのは、新たなる進化ではなく――「セーターの上に赤いベルベットのブラジャーを纏う」という絶対的な美意識だった。
滋賀県甲賀市信楽町。数千の狸像が放つ無言のプレッシャーの中、男は18世紀の黒鉄包囲砲(シージキャノン)と共に直立不動のポーズをキメる。
彼の名は宗 ビクトル。年齢19歳。
ハゲである。
サロン日焼けである。
純国産である。
「アタシのスキンヘッドが太陽光を反射している間、世界はアタシの美意識に従わなければならないわけ」
読者諸君、君たちは今、活字のランウェイの上に立っている。
ページをめくった瞬間、君たちの脳細胞はベルベットの速度で爆破されるだろう。