あらすじ
「パパは、世界中の電気を明るくしにいくの?」
その約束を守るため、アキトは宇宙へ出た。
特異点(ブラックホール)から新エネルギーを持ち帰る。それがエネルギー枯渇に喘ぐ人類を救い、妻と息子の日常を守る唯一の道だと信じていた。
妻から「生きて帰って」と刻まれた銀のペンダントを託され、探査船〈オリオン〉に乗り込んだアキト。
しかし、特異点の超重力場で発生した事故により、船は時空の深淵へと呑み込まれてしまう。
命からがら不時着したのは、争いも貧困もない平和な超高度文明都市だった。
大気も重力も地球と同じ。しかし、アキトはそこで青年になった息子の写真と、無数の傷がつき、百年の時を経て擦り切れた「自分のペンダント」を発見する。
時計の針は出発から十数日。だが、特異点が引き延ばしたのは「100年」という残酷な歳月だった。
妻はすでに土の下、息子も生涯を終えた、誰も自分のことを知らない未来の地球。
帰る場所も生きる意味も喪失し、絶望の底に突き落とされるアキト。
しかし彼はまだ知らなかった。
彼が遺した志が、100年前の家族にどのような「奇跡」を起こしたのかを――。
時間と空間を越えて響き合う、喪失と再生のヒューマンSF。
「※全5話。毎日20時に更新します(完結まで執筆済みです)」