あらすじ
41歳の榊原直人は、73人の「何かあった時にまず呼ぶ人」になっている。
元隣人、元同僚、知人の知人。
深夜の病院、鍵のトラブル、入院中の猫の世話――頼まれれば動く。
それが直人の得意な距離だった。
ある夜、三回しか会ったことのない元隣人の急病で病院へ呼ばれ、そこで彼女に成人した娘がいると初めて知る。
自分は、なぜここにいるのか。
そして会社の書類で気づく。
73人の緊急連絡先になっている自分自身の欄だけが、空白だった。
人を助けるのは得意。
断るのは苦手。
頼るのは、もっと苦手。
「必要とされること」と「親しいこと」は同じなのか。
役に立つことで人とつながってきた男が、誰かに頼ることと、何も起きていない日に会うことを覚えていく現代ドラマ。