あらすじ
冬木聡は、八百年働き続ける死神である。
満員電車で会社へ通勤し、報告書を作り、死者を三途の川まで送り届ける。
仕事帰りにはスーパーで半額惣菜と豆腐とビールを買う。
そんな代わり映えのしない毎日を送っていた。
ある夜、いつものスーパーで顔馴染みの女性店員から声をかけられる。
「いつもありがとうございます」
その夜、聡のもとに一件の仕事が届く。
送迎予定者――塩山しずく。
死因――自死。
いつもの仕事。
そのはずだった。
しかし聡は知ってしまう。
彼女には、本来まだ生きられる時間が残されていることを。
なぜ、彼女は死ななければならないのか。
八百年間、見て見ぬふりを続けてきた一人の死神が、たった一人の人間の「死」をきっかけに、現世とあの世に隠された歪みに足を踏み入れていく。