あらすじ

御影陽依、御影結良、御影未零花。 同じ名字を名乗り、同じ学年に通い、同じ家で暮らしている三人の少女。 けれど、その血縁関係はとんでもなくややこしい。 陽依と結良は、父親を同じくする異母姉妹。 結良と未零花は、同じ母親から同時に生まれながら父親の異なる、異父双生児。 そして、陽依と未零花には血のつながりがない。 婚外子として生まれながら、父親に認知されて御影家へ迎えられた陽依。 三人の中で唯一、父母双方との血縁が家族関係と一致し、二人の姉妹をつなぐ結良。 婚姻中に生まれながら嫡出を否認され、外国人と思われる実父が誰なのかさえ分からない未零花。 そんな三人を長年守ってきたのは、彼女たちとは血縁すらない一人の老女、静子だった。 そして、その静子が亡くなった。 両親を癌で亡くし、医師を志す高校生――勅使河原啓十は、山陰地方から東京へやってくる。 祖母から相続したのは、中野にある大きな一軒家と、多額の遺産。 東京に持ち家まである。 これなら医学部を目指す新生活もなんとかなる。 そう思っていた啓十は、転校初日の高校で三人の少女とそれぞれ出会う。 明るく優秀な陽依。 大人しく、いつも誰かに譲ってしまう結良。 世の中に喧嘩を売っているような未零花。 彼女たちが祖母、静子と深い関係にあることなど、啓十は知らない。 三人もまた、「勅使河原」という見知らぬ名字の転校生が、静子の孫だとは知らなかった。 そして放課後。 啓十は期待に胸を膨らませ、初めて自分が相続した家へ向かう。 ところが、誰もいないはずの家には生活の痕跡があった。 靴がある。 食べ物がある。 洗濯物まである。 そして玄関が開いた。 「ただいま――」 帰ってきたのは、今日学校で出会った三人だった。 「……なんでお前らが俺の家にいるんだ?」 「……なんであんたが静子さんの家にいるの?」 さらに弁護士から知らされた、祖母の遺言。 啓十が相続するはずの財産、その大部分は凍結されていた。 条件は――御影三姉妹が自立すること。 両親の男女関係によって人生を振り回され、恋愛そのものを信用できなくなった三姉妹。 努力すれば人生の問題は解決できると考え、自分の力で医師への道を切り拓こうとする啓十。 そして、生涯を通じて多くの人を助け続けた祖母が、そんな孫にどうしても知ってほしかったもの。 ――慈悲。 「もう俺がぜんぶ見てやるよ! 夢も生活も!」 血縁では三人を綺麗に説明できない。 戸籍だけでも説明できない。 他人とも、家族とも、やがて恋とも簡単には言い切れない。 これは、そんな四人が一つ屋根の下で暮らしながら、 「家族って、いったい何なんだ?」 を見つけていく物語。 私たちは、そんな簡単には――別けられない。

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カクヨム
カクヨム2026/09/15
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