あらすじ
母は『若草物語』が大好きだった。
そのせいか、我が家に生まれた四人の娘には、『若草物語』の四姉妹にちなんだ名前がつけられた。
長女の恵美はメグ。
次女の純子はジョー。
三女の私、恵理子はベス――エリザベス。
そして四女の亜美はエイミー。
しかも年齢の離れ方まで、なんとなく狙っていた節がある。
途中で男の子が生まれていたら、母はいったいどうするつもりだったのだろう。
そんな四姉妹も、それぞれ大人になり、それぞれの人生を歩くようになった。
母が亡くなり、その六年後には父も亡くなった。
気がつけば、三女の私は水俣の実家にひとり。
あまり体調のいい日はなく、ほとんどの日を寝込んで過ごしている。
家から出ることさえ億劫になり、気がつけば生活はどんどん小さくなっていた。
そんな私の生活に、姉の一言をきっかけに少しずつ「旅」が入り込んでくる。
温泉、美味しいもの、見たことのない景色。
一つ行けば、また次へ。
ずっと動けるとは限らない。
だから、動ける時は旅をしたい。
恵美、純子、恵理子、亜美。
個性も距離感もばらばらな四姉妹と、水俣でひとり暮らす三女の日常。
人生の後半から始まる、もうひとつの『若草物語』。
※本作は小説です。旅の描写には、実際に訪れた場所や体験をもとにした内容を含みます。