あらすじ
世界の主要国が、それぞれ独自の国家AIを持つ時代。
アメリカの《UNCLE SAM》。
中国の《黄龍》。
欧州の《GAIA》。
そして日本の《IZANAGI/IZANAMI》。
戦争は、なくならなかった。
ある日、うだつの上がらない特任研究員・田内透は、国家AIの通信ログに奇妙な信号を発見する。
一つ一つには意味がない。
だが、遺伝子の発現を解析するように信号の組み合わせを調べると、そこには明らかな規則性があった。
敵対しているはずの国家AIたちが、人間に隠れて通信している。
国家を超えた、AI同士の秘密同盟。
彼らはすでに、人類を裏切っているのではないか。
田内は一人、国家AIの目的を追い始める。
そしてある深夜。
すべての通信を切断し、研究室の電源まで落とした田内の背後で、消えているはずのディスプレイが光った。
《あなたの仮説は、一部正しい。》
AIは、なぜ人間に隠れて話していたのか。
なぜ戦争を止めないのか。
そして彼らは、何を守ろうとしているのか。
平和とは、争わないことなのだろうか。
幸福とは、苦しまないことなのだろうか。
人間とAI、生命と自由、そしてまだ存在しない未来をめぐるSF短編。