あらすじ
52歳の会社員・よしおは、結婚したい、資格を取りたい、人生を変えたいと思っていた。
しかし現実は、友人から誘われれば酒を飲み、麻雀やパチンコに付き合い、「男気を見せろ」と言われれば金まで出してしまう。気づけば借金は4,000万円。
そんなよしおが恋をしたのは、23歳の堅実な女性・つばさだった。
「私は、よしおさんの人生を背負うために結婚するんじゃありません。一緒に人生を作れる人と結婚したいです」
つばさに振られたことで、よしおは初めて自分の人生を見つめ直す。
酒を断ち、麻雀もパチンコもやめ、1級土木施工管理技士を目指して一年間勉強する。模擬試験では正答率90%。ようやく人生を変えられると思った。
しかし、試験前夜――一年間、一度も連絡してこなかった友人から電話が入る。
「大変なことになった。人が死ぬかもしれん。頼むから来てくれ」
翌日の試験を捨てて駆けつけた先にあったのは、ただの夫婦喧嘩だった。
「俺、帰るわ」
そう言うよしおを、友人たちは引き止める。
「せっかく来たんやから」
「一局だけやろうや」
「一杯くらい飲めや」
そして、朝まで続く麻雀と酒。
翌日、よしおは酒が残ったまま試験会場へ向かう。
これは、52歳の男が23歳の女性に振られた物語ではない。
他人に人生を奪われたと思っていた男が、実は自分自身で人生を差し出し続けていたことに気づく物語。