あらすじ

相模真琴、32歳。職業、葬儀屋。 目を覚ましたら、そこは魔法の存在する異世界だった。 剣も使えない。魔法も使えない。 与えられた特殊能力も、神様からの説明もない。 あるのは、現役葬儀屋として培ってきた経験と――やたら荷物の多い仕事用バッグだけ。 しかも真琴が最初に心配したのは、自分の身の安全でも、元の世界へ帰れるかでもなかった。 「え、困る! 今日葬儀あるのに!!」 そんな異世界にも、当然ながら死はある。 けれど、人が亡くなれば布に包み、祈り、土へ還す。 死者を悼む心はあっても、故人のために身支度を整え、その人の人生を振り返り、家族がゆっくり別れを告げる――そんな「葬儀」を仕事にする者はいなかった。 「好きだった服があるなら、着せたらいいじゃないですか」 「死んだ者を着せ替えるというのか?」 「私がやりますよ」 身体を清め、傷を隠し、顔色を整える。 遺された品を飾り、家族から故人の話を聞く。 氷魔法を見れば遺体の保冷に使えないかと考え、 炎魔法を見れば火葬できないかと考える。 異世界に来ても、相模真琴はどこまでも葬儀屋だった。 これは、死者を蘇らせる物語ではない。 死者は生き返らない。 だからこそ、残された人がきちんと「さよなら」を言えるように。 異世界にはまだ存在しない“葬儀屋”の仕事が、少しずつ人々の送り方を変えていく物語。

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カクヨム
カクヨム2026/09/15
  • 現在の作品異世界に葬儀屋はいないらしい