あらすじ

迷宮には、探索者がいる。 魔物を倒し、財宝を探し、名声を得る。 危険な迷宮を攻略する彼らは、いつだって物語の主役だ。 ――だが、彼らが去ったあとには、誰かが片付けなければならない。 泥。 血痕。 壊れた装備。 腐食した床。 残された私物。 そして、誰にも拾われない小さな痕跡。 灰原蓮は、迷宮清掃公社に勤める清掃員だ。 戦闘能力は低い。 人の気持ちを読むのも苦手。 英雄になりたいわけでもない。 ただ、危険な現場を安全に戻すことだけは、人一倍うまかった。 排水を確保する。 汚れを除く。 壊れたものを片付ける。 必要なら、現場に残った小さな違和感を確認する。 それは事件を解決するためではない。 ――仕事を、最後まで終わらせるためだ。 華やかな英雄たちが去ったあと。 誰にも見向きもされない最悪の現場で、 名もなき人間たちの残した「本当のもの」が、泥の下から静かに現れる。 これは、英雄の物語ではない。 英雄たちが食い散らかした迷宮を、 黙々と元に戻していく、一人の清掃員の仕事の記録である。

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カクヨム
カクヨム2026/09/14
  • 現在の作品迷宮鑑識