あらすじ
前世で読んだ小説の世界に転生した公爵令嬢リリー。
しかも婚約者のグレイソンは、十八歳になった時に悪役の才に目覚め、将来王国を揺るがす『悪役令息』になる男だったことも思い出す。
けれど、目の前で紅茶を飲んでいる十四歳の彼はまだ悪人ではない。
無口で他人に興味がなく、好きなものも、やりたいことも何一つないだけ。
原作では、そんなグレイソンが父に命じられて陰謀を企てたことで、生まれて初めて「楽しい」と感じてしまう。
そして陰謀にのめり込み、やがて破滅への道を歩んでいくのだ。
それなら――悪いことに夢中になるより先に、もっと楽しいことをたくさん教えてしまえばいい。
ということで、リリーは未来の悪役令息に、陰謀より楽しい人生をと。グレイソンの毎日に、少しずつ「好き」と「楽しい」を増やしていくことにした。
すると、何事にも興味を示さなかったはずの彼は、少しずつ自分からやりたいことを見つけるようになっていく。
ただし、冷徹な頭脳も、相手の逃げ道を完璧に塞ぐ容赦のなさも、なぜか順調に成長していき――。