あらすじ
シュティルプ・ウント・ヴェーアデ ― ナーハ・デーン・ゲッテルン
Die Zeit der Götter starb in der Dämmerung
《神々の世は、黄昏にて死した》
Der Himmel brannte, die Erde sank ins Meer
《天は焼け、大地は海へ沈み》
Und das Alte ging hinüber zu den Toten《古きものは皆、死者の側へ渡った》
Doch die Erde kehrte wieder
《されど大地は再び帰り》
Ein zweiter Morgen brach an
《二度目の朝が生まれ》
Und unter diesem Morgen blieb kein Sitz für Götter
《その朝に、もはや神々の席はない》
Die Welt gehörte den Menschen
《残された世界は、人のものとなった》
Doch der Tod vollendet selten alles
《だが死は、万事を終えるには少々不器用だ》
Er lässt Knochen zurück, Asche, Blut und Namen
《骨を、灰を、血を、そして名を残す》
Und die Menschen vergessen nicht
《そして人は、忘れることを知らない》
Sie lieben die Toten
《死者を愛し》
Sie fürchten die Monster
《怪物を畏れ》
Sie flehen zu den Göttern, die längst gefallen sind
《とうに墜ちた神へ、なお祈る》
Gebet sinkt in Knochen
《祈りは骨へ沈み》
Furcht gerinnt im Namen
《畏れは名の内に凝り》
Erzählung wird Glaube
《物語は信仰となり》
Glaube nimmt Gestalt an
《信仰はやがて形を得る》
Was die Toten hinterließen, berührt die Welt erneut
《死者の遺したものは、再び世界へ触れる》
Nimmt es Gestalt an
《形を結べば――形成》
Offenbart es seinen inneren Sinn
《内なる意味を現せば――具現》
Verlässt der Sinn das Gefäß und greift in die Welt
《意味が器を離れ、世へ及べば――事象》
Und wenn die innere Welt die Wirklichkeit überstimmt
《そして内なる世界が、現実そのものを押し退けるなら》
SCHÖPFUNG
《創成》
プラハ。
夜。
寮へ帰る途中だった。
篠塚怜は英雄ではない。
信仰もない。
使命もない。
怪物を殺したい理由など、当然なかった。
ただ、
路地の奥から人の呻き声が聞こえた。
だから見に行った。
そこにいたのは、
人の形をした、豚のような怪物。
そして。
黒いドレス。
長い黒髪。
片目に残る、決して消えない傷。
怪物の爪が怜を裂いた。
浅い傷だった。
血は止まらないほどではない。
心臓も動いている。
息もできる。
言葉さえ出る。
それでも女は、
怜の脈を確かめてから言った。
「だが死んでいるよ」
その夜、
篠塚怜は死者となった。
そして。
死者へ下された判決は、
灰によって覆された。
神だから死なない。
怪物だから人を喰う。
呪われたものは救われない。
聖なるものは正しい。
それは事実か。
それとも。
長く信じられすぎた、
ただの物語か。
一度、
死という判決すら覆ったのなら。
不死は。
神性は。
奇跡は。
呪いは。
誰が、
覆せないと決めた。
Stirb
《死ね》
und werde
《そして、成れ》