あらすじ
「俺と婚約してほしい」
異世界へ派遣されて聖女として働いている私。
今回もいつも通り、瘴気を浄化して、魔物を倒して、1週間ほど働いたら日本へ帰る――ただそれだけの仕事のはずだった。
ところが、召喚された初日から、見知らぬ美しい男がなぜか私の後ろをついてくる。
話しかけてもほとんど喋らない。
ただ無表情で、じーっと私を見ている。
怖い。
ものすごく怖い。
できるだけ刺激しないようにしていたのだが、魔物に襲われた私を助けたことで、彼の正体が判明する。
なんと彼は、この国の第一王子・レオンハルト殿下だった。
しかも――。
「生まれて初めて好きになった人に、どう声をかけたらいいか分からなかったんだ」
どうやら私に一目惚れして、ずっと後ろをついてきていたらしい。
いやいやいや。
一目惚れなんて、小説やドラマの中だけでしょう?
しかも相手は、誰もが振り返るほど美しい王子様。
何かがおかしい。
怪しい。
もしかして詐欺?
そう疑う私をよそに、王子様はさっそく婚約を迫ってくる。
「早くしないと、君が他の男に奪われてしまう。君は魅力的だから」
「早いです。まずはお友達から始めませんか」
「……分かった」
どうにか納得してもらったものの。
「でも、もし君が俺から離れるようなことがあれば、全力で追いかけに行く」
「は、はい……」
――このときの私は、まだ分かっていなかった。
この王子様が、本当にどこまでも追いかけてくる人だということを。