あらすじ

空は厚い灰色の雲に覆われている。予報では今夜は雪が降るようだ。こんなどんよりとした暗い空を眺めていると、なぜ自分がこんな場所にいるのか、よくわからなくなってくる。  瀬戸夏は鮮やかな青色をした上着のジャージのポケットの中から、もうぼろぼろになってしまった手書きの地図を取り出して、自分の位置を確認した。目的地までは、あともう少しだ。  冷たい風が大地の上を吹き抜ける。その風が少し癖のある、夏の腰の辺りまで伸びた自慢の美しい黒髪を柔らかく揺らした。夏の足元には舗装もされていない土色の道があり、夏の周囲には緑色の草原と澄み切った空気がある。そんな風景を、夏は道の上に立ち止まって、ぼんやりと眺めている。  ……まあ、いいところかな。うん、悪くはない。これから会うことになる私の友達は、こんな世界の中で暮らしているのか、……少し意外だ。

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カクヨム
カクヨム2026/09/14
  • 現在の作品夏。なつ。(再掲載)