あらすじ
『魔王様の仕立て屋』
異世界に転生した少女、ルリエナ。
前世で衣装職人として働いていた彼女は、転生した世界でも針と糸を手放さなかった。
母から仕立てを学び、父から素材を学びながら、やがて冒険者の装備を仕立てるようになる。
彼女には、他の職人にはない特別な才能があった。
それは・・・人の身体を読むこと。
剣を振るとき、槍を突くとき、走るとき。
人によって身体の動かし方は違う。
ルリエナはその動きを見極め、身体の癖や力の流れに合わせて、一人ひとりに最適な装備を仕立てていく。
強い武器を持たせるだけでは、人は強くならない。
その人が持つ力を邪魔せず、最大限に引き出す。
それが、ルリエナの考える「仕立て」だった。
そんな彼女のもとへ、ある日、一人の客が訪れる。
人間たちが恐れ、長きにわたり敵としてきた存在・・・魔王。
「余を美しく見せる必要はない。強く見せろ」
その依頼をきっかけに、ルリエナの仕立て屋には、これまでとは違う客たちが訪れ始める。
冒険者。職人。魔族。そして魔王。
剣でも魔法でもなく、針と糸を武器に。
一人の少女が仕立てる一着が、人と人との関係を、そして世界を少しずつ変えていく。
これは、戦う者たちの「力」を仕立てる、異世界職人の物語。