あらすじ
「私はここで英雄になる」
迫りくる鎧獣の群れから避難民を守るため、少女エナは橋に残った。
鉄道工房の見習いルカに、二人で食べるはずだったパンを託して。
人々は彼女の勇気を讃え、美しい英雄譚を語る。
けれどルカは、その物語では語られない彼女を知っていた。
靴が冷たいと文句を言っていた。
一人にされるのは嫌だと、困った顔をしていた。
――彼女は、帰りたがっていた。
誰かを守るためには、誰かが残らなければいけないのか。
これは、美しい英雄譚の陰に置き去りにされた、
小さな願いから始まる物語。