あらすじ
ずっと何かが起きてほしかった。
仕事は順調だし、趣味も楽しい。
32歳で浮いた話がないのはたまにキズだが、
それでも不自由ない人生なはずだった。
だけど、何かが満たされない。
だからだろう、俺がなろう系小説に惹かれていたのは。
いつか、どこかで、「何か自分を変えてくれる世界」を求めて。
そんなこと起こるはずないのにな。
だけど、それは本当に起きた。
いつもの通勤途中、突然俺は異世界に飛ばされた。
若返った身体。
見渡す限りの草原。
憧れていた異世界。
「俺にも来た! 今度は俺の番だ!」
だけど何かがおかしい。
女神が迎えに来なければ、チートももらえない。
転移先の草原で女の子とばったり会うこともない。
魔法も使えないし、筋力もただの俺。
もちろん果たすべき使命がやってきたりなんかもしない。
それどころか生きるだけでいっぱいいっぱいの日々。
「俺の知ってるなろう系じゃない!?」
この世界は、俺を主人公にしてなどくれなかった。
ずっと待っていたはずの異世界は、「何か自分を変えてくれる世界」なんかじゃなく。
俺は俺としてこの世界で生きていかなくてはならない。
これは、なろうに憧れた男が、
「何も自分を変えてくれない世界」で、生きていく物語。