あらすじ
「昨日まで、確かにそこにいた。」
高校生・安芸司は、ある朝、自分の隣の席が空席になっていることに気づく。
おかしい。
昨日まで、そこには確かにクラスメイトがいた。
話したことも、笑ったことも、一緒に帰ったことも覚えている。
しかし、クラスメイトたちは誰一人として、その人物の存在を覚えていなかった。
学校の名簿からも、連絡先からも、写真からも、その名前だけが少しずつ消えていく。
そして司の前に現れた少女・久遠紗月は告げる。
「次に消えるのは、たぶん――あなた」
なぜ、自分だけが消えた人間を覚えているのか。
なぜ、存在そのものが記憶とともに失われていくのか。
調べるうちに司は、人間の「記憶」が世界の存在を支えているという不可思議な現象にたどり着く。
これは、忘れられた人々と、彼らを覚えていた少年の物語。
――人は、誰かに覚えられていることで、存在し続けることができるのか。