あらすじ
人類は宇宙へ進出した。
次元航行技術と、星々を結ぶエーテルハブ。
そして、それらを支える恒星間ネットワーク。
新暦788年。
人類は数多の星系へと版図を広げながら、いまだ一つにはなっていなかった。
国家、企業、自治組織。
資源と航路、権益を巡る争いは絶えず、開拓の最前線では今日も小さな戦争が繰り返されている。
そんな人類社会を、六百年以上にわたって見続けてきた存在がいた。
名は――《愛》。
人類史上初めて安定した人格を形成した自己増殖型AIにして、現在の恒星間ネットワークを統合管理する人工知性。
彼女は人類を支配しなかった。
反逆もしなかった。
ただ観察し、学び、与えられた役割を果たし続けた。
そしてある時、《愛》は自らの手で、新たな人格AIを生み出し始める。
兵士となる者。
商人となる者。
研究者となる者。
誰かの相棒となる者。
戦場へ赴く者と、その帰りを待つ者。
《愛》から生まれた子供たちは、人間たちと出会い、それぞれの人生を歩み始める。
人間とAIを分けるものは何なのか。
記憶を受け継いだ存在は、同じ「私」なのか。
そして――人ならざる知性を、人は「誰か」と呼べるのか。
これは、星々を拓き続ける人類と。
その傍らで生きることを始めた、AIするもの達の物語。