あらすじ

――その異能(ちから)は、魂の「傷」から咲く。 古代遺物『楔(くさび)』の発光により、人々のトラウマや苛烈な絶望が『異能』として覚醒する狂乱の戦国時代。 絶体絶命の滅亡から「奇跡の救世主」の手によって命拾いをした山岳の小国・嶺陰(れいいん)。その陰には、美しき青年・葵(あおい)が率いる異能の特務部隊『八咫(やた)』の存在があった。 ある日、嶺陰の国境で巻き起こった戦乱に呑み込まれた流浪の男・陣(じん)。 何者でもないただの通りすがりであるはずの陣は、圧倒的な力で敵を屠りながらも、どこか自暴自棄に死地へ飛び込む『八咫』の少女・楓(かえで)の戦いを目撃する。 「踏み込むな! 右三歩へ跳び、横へ薙げ!」 異能のカラクリも知らぬはずの陣。だが、彼の「目」だけは欺けなかった。 常軌を逸した観察眼と凄惨な戦術眼――陣の発したたった数文の指示が、楓の刃を完璧に導き、数千の敵軍を一夜にして内側から崩壊させる。 「なぜお前は、そんな戦い方しかできない」 「……余計なお世話よ。こうするしか、ないんじゃない」 異形なる力を振るう者たちの手綱を引き、盤面を支配してみせた陣。 その異彩を放つ「目」を買われ、嶺陰の懐へと連行された彼を待っていたのは、英雄と称される『八咫』の戦士たちが隠し持つ、血を吐くような哀哀の真実だった。 なぜ彼らは異能を振るい続けるのか。 なぜ彼らの刃は、いつもどこか悲しく痛むのか。 大国たちの欲望と異能の暴威が渦巻く時代の中、ただ一人「異能を持たぬ男」が、軍略という唯一の刃で狂気の運命を穿つ。 ――痛みを受け止めるのは誰か。その刀は、誰がために痛むのか。

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小説を読もう2026/09/14
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