あらすじ
三枝こはるは、どこにでもいる小学四年生だった。
ある雨の日、迷い猫を助けたいと願ったこはるの胸から、一冊の青い本が現れる。
その名は〈ココロノホン〉。
長い年月を越えて読み継がれてきた文学を最後まで読むことで、その物語の言葉を魔法として呼び出せる不思議な本だった。
『吾輩は猫である』で猫と言葉を交わし、『蜘蛛の糸』で失くし物を拾い、『草枕』で誰かを守る。
最初は、放課後の小さな困りごとを解決するだけだった。
けれど母の職場でのいじめ、父にかけられた横領疑惑、水質汚染、災害、そして戦争――こはるの前に現れる問題は、少しずつ大きくなっていく。
それでも彼女は魔法を使った。
怖くても、疲れていても、「大丈夫」と笑いながら。
やがて世界は、一人の小学四年生の魔法を必要とするようになる。
そして春。
停戦したはずの空から、日本へ新型ミサイルが飛来する。
「私なら、どうにかできるかもしれない」
少女が最後に開いたのは、誰かが書いた物語ではなかった。
これは、本を読むことで世界を救った少女と、
その少女を取り戻すために本を読み始めた人々の物語。
### 文学作品の出典
詠唱・引用は以下の原作品を参照しています。ルビは一部省略しています。魔法の働きや、現実へ現れた登場人物の描写は本作独自の創作です。作中の企業・国家・事件、および竜の冒険小説は架空のものです。
- [夏目漱石『吾輩は猫である』](https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/789_14547.html)
- [芥川龍之介『蜘蛛の糸』](https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/92_14545.html)
- [夏目漱石『草枕』](https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/776_14941.html)
- [夏目漱石『夢十夜』](https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/799_14972.html)
- [新美南吉『ごん狐』](https://www.aozora.gr.jp/cards/000121/files/628_14895.html)
- [宮沢賢治『銀河鉄道の夜』](https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/456_15050.html)
- [宮沢賢治『春と修羅』](https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1058_15403.html)
- [宮沢賢治『注文の多い料理店』](https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/43754_17659.html)