あらすじ
就職が決まらず、生まれ育った町の弁当屋を手伝うことになった津野田チサト、二十三歳。
最初は不満ばかりだったけれど、常連さんの「おいしい」に、少しずつ働く楽しさを見つけていた。
そんなある朝、店に現れた美しい会社員・神田美沙都が、誰にも知られたくない過去を口にする。
女性の恋人がいたこと。新宿の女性向けバーで働いていたこと。
この町で知っているのは、幼なじみの親友・千明だけのはずなのに。
「バラさないで」と怯えるチサトに、美沙都は「今後も通います」と告げる。
そして本当に、毎朝七時四十分、お弁当を買いに来るようになった。
甘い卵焼き、香ばしい唐揚げ、だしの染みた茄子。
おいしいものと言葉を交わすうち、怖かったはずの人が、いちばん会いたい人になっていく。
けれど、チサトが幸せになるほど、「親友」の優しさには棘が増えて――。
「心配してるだけ」で私を縛るあなたへ。
私、自分で仕事も恋も選びます。
湯気の向こうで恋が育つ、お弁当屋さんの百合×フレネミーざまぁ。