あらすじ
会社員・白川菜々。悪魔の求婚も、堕天使の問いも、忘れられた女王の孤独も、奈落の司書の頁も、星々の彼方の観測者も、時を喰らう王も――そのすべてに、彼女は自分の答えを返してきた。
けれど、ある夜から。毎晩、同じ夢を見るようになる。
痣もない。悪魔も、天使も、誰も現れない。ただ、やさしいだけの――何も起きない世界。
目覚めるたびに、現実の重さが、肩にのしかかる。「ずっと、ここにいられたら」――そう思う自分に、菜々は気づいて、怖くなった。
「もう、諦めても、いいのかな」
その呟きに応えるように、夢の奥から、ひとりの女が現れる。
「疲れたでしょう。もう、頑張らなくて、いいの」
夢食いの魔女。人が眠りの中で手放した夢だけを、そっと呑み込む者。彼女は菜々に、選ばなかった人生――呪われなかった自分、傷つけずにすんだ関係、痛みのない日々――を見せ、こう問う。
「どちらの人生を、選ぶ?」
夢と現実、そのどちらを生きるのか。ダークファンタジー・シリーズ「ナナ・クロニクル」第七作。