あらすじ
「――この契約書は、貴様の血で書かれている。逃げられると思うなよ、リゼット」
第二王子オズワルドから突きつけられたのは、婚約破棄と『永久魔力奴隷化』の宣告。冷酷な悪女と蔑まれ、社交界中の侮蔑の視線を浴びる公爵令嬢リゼット・ヴァレンティア。
しかし、彼女は内心で薄く笑っていた。
(……この契約書、条文を最後まで読んでないでしょう、あなた)
前世は現代日本の法務部で、来る日も来る日も契約書のレビューに追われた社畜OL。悪魔は細部に宿る――血の契約ほど、条文の解釈がすべて。それを誰よりも知る彼女は、幼い頃から自らを縛る呪いの契約書を、十数年かけて読み込んできたのだ。
継母と義妹に搾取され、道具として使い潰されてきた日々。だがその屈辱の書類仕事こそが、彼女を最強の「契約破りの令嬢」へと鍛え上げていた。
「第七条。では、こちらの条項を読み上げますわ――」
静かに告げられる、たった三つの綻び。それは搾取契約を根本から覆し、愚かな者たちの首に自ら縄をかけさせる、完璧な逆転劇の始まりだった。
自由を勝ち取ったリゼットは、宮廷魔術師として辺境の新天地へ。彼女を正当に評価する場所で、成り上がりの物語が幕を開ける。
しかし――逆流の難を免れ、まるで自らの意思で残ったかのような、もう一枚の血の契約書。
『――時満ちしとき、汝は我のもとへ還る』
前世の記憶を持つ彼女ですら、まったく心当たりのない契約。それはいつか、その正体を現す。
(次はどんな抜け穴を、探すことになるのかしら)
契約書の抜け穴を暴き、悪意を打ち砕く痛快ざまぁ×成り上がりファンタジー、開幕!