あらすじ
ゴールデンウィークの七日間、湊人はずっと莉奈に日傘を差していた。私に差してくれたことは、一度もなかった。
旅行最終日には、帰りの便に二席しか空きがなかったから、自分と莉奈の分だけ先に取ったと言われた。私はキャンセル待ちに回ればいいらしい。
真昼の日差しの下で、一本の日傘に入りながらふざけ合う二人を見ていたら、七年続いたこの関係も、もういいと思えた。
ホテルに戻ると、ちょうど悠真からメッセージが届いた。
【どうせ帰りの便、取れなかっただろ。明日の午後便、一席押さえてある】
しばらく画面を見つめ、そのまま電話をかけた。
「悠真」
「ん?」
「前に言ってたよね。私が結婚したくなったら、自分のことも考えてって。あれ、まだ覚えてる?」
電話の向こうが数秒、静かになった。
「覚えてる」
スマホを握り直した。
「じゃあ、帰ったら婚姻届を出そう」