あらすじ
『悪』とは、ある種の間違いである。
ならば、その道を歩む者は――華やかしく、美しくあらねばならない。
自らを”最も美しい『最悪』”と称する彼女は、醜く下賤な悪を何よりも嫌っていた。
とある晩餐会にて、事件が起こる。
突如として倒れた王子。
彼が口にしたワインからは毒が検出され、直前にワインを注いでいた幼馴染の令嬢へ疑いの目が向けられた。
しかも疑いの目を向けられた令嬢は、ワインに何かを混ぜていたことを認めてしまう。
状況だけを見れば、彼女が毒を盛ったとしか思えない。
しかし――”彼女”は、その推理を「くだらない」と一蹴する。
王子の幼馴染のことは好いていない。
だが、自らの信じる『悪』の美学に反する、醜く下賤な悪意を前に、自らを『悪』と定めた令嬢が立ち上がり、犯人の本性そのものを暴き出す!
「私こそが、最も美しい、『最悪』なのだから」
己の美学のため、ただそれだけのために、華やかな社交界に潜む魔を裁く――短編ミステリ。