あらすじ
27歳の会社員、水城ミナ。
仕事を終え、いつものように駅へ向かっていた彼女は、その夜、何者かに拉致された。
次に目を覚ましたとき、ミナは巨大な水槽の中にいた。
脚は、なかった。
代わりにあったのは、水中を泳ぐための長い尾。
首には、水中で呼吸するための器官。
そして彼女は、名前ではなく「M-07」と呼ばれていた。
極秘研究計画――PROJECT NEREID。
深海で発見された未知の生命体の遺伝情報を利用し、人間を海へ適応させる実験。
ミナは、その最初の「成功例」だった。
だが、彼女は知らない。
なぜ自分が選ばれたのか。
M-07以前の実験体に何が起きたのか。
そして、人類が31年前に深海から持ち帰ったものが、本当は何だったのか。
研究者たちは言う。
「あなたは成功した」
けれど、ミナは認めない。
身体を変えられても。
人間ではない力を手に入れても。
世界から「死んだ人間」として扱われても。
自分が誰なのかだけは、他人に決めさせない。
「私の名前は、水城ミナ」
これは、人間ではない身体にされた一人の女性が、
奪われた名前と人生を取り戻す物語。