あらすじ
紋章なし。魔法なし。戦闘力なし。
軍御用達商会の倉庫番として働いていた十七歳の青年ハルトは、ある日突然、無能の烙印を押されてクビになった。
食事と寝床を得るため、死亡率の高い辺境軍の補充兵へ志願するが、初陣で遭遇したのは、魔王軍最強の悪魔大公ルシファー。
誰もが恐怖で動けなくなるなか、ハルトだけは彼女の瞳に浮かぶ悲しみに気づいてしまう。
するとルシファーは、戦闘能力のないモブ兵であるハルトの前へ跪いた。
「ようやく見つけました。我ら七大悪魔が仕える、ただ一人の主を」
その日から、ハルトの平凡な人生は一変する。
最強の美女たちから城へ連れ去られ、誰が世話をするかで争われ、現魔王からは「兄様」と抱きつかれる。さらには、失った十年前の記憶を知る許嫁まで現れて――。
それでもハルトにできるのは、壊れかけた装備を見抜き、必要な物資を配置し、困っている人の名前を覚えることだけ。
これは、戦えない無紋の青年が、小さな気づきと優しさによって最強の悪魔たちを導き、やがて人間と魔族の未来を変えていく物語。