あらすじ
慶長五年――西暦一六〇〇年。
信濃の山あいで母と静かに暮らしていた十八歳の少年、天城旭。
剣を握ったことも、剣術を習ったこともない。
だが、激しい雨の夜。
血まみれの使者が現れたことで、旭の人生は一変する。
母が十八年間隠していた一本の古い刀。
追っ手が命を狙う謎の書状。
そして、死んだと思っていた父にまつわる秘密――。
初めて刀を握った旭を待っていたのは、
人を斬ることに慣れた本物の剣士だった。
技も型も知らない。
頼れるのは、生まれ持った身体能力と観察力、そして生き抜こうとする本能だけ。
斬られ、追い詰められながら、旭は気づいていく。
刀が動く前に、人が動く。
読めないのなら、相手を自分の望むように動かせばいい。
師はいない。
流派もない。
戦いの中で敵から学び、生き残るたびに自分だけの剣を創っていく。
やがてその剣は、どの流派にも属さない「無流」と呼ばれることになる。
これは、何者でもなかった十八歳の少年が、
滅びた天城家の謎と父の真実を追いながら、
一人の剣士へと成長していく物語。
『天城旭 ― 無流の剣』
ここから、旭の旅が始まる。