あらすじ
気がつくと、俺は人間ではなく――小さなドラゴンになっていた。
見知らぬ山と森。人間の言葉は分かっても、こちらから話すことはできない。空腹になれば、自分で獲物を探し、傷つけば誰にも頼れない。
そんな俺に、ある日ひとりの少女が黒パンを差し出した。
山間の小さな村ルーエに暮らす少女、リナ。
彼女は怪我をしたドラゴンを怖がりながらも、自分の黒パンを半分に割り――大きい方を俺にくれた。
たった半分の黒パンだった。
けれど、その小さな親切を俺は忘れなかった。
だから今度は、俺が返す番だ。
村を襲う魔獣を追い払い、畑を守り、道を作る。
人と関わるうちに仲間が増え、ワイバーンや魔獣たちまで俺を主と仰ぐようになっていく。
やがて小さな村には人が集まり、交易が生まれ、龍人族まで共に暮らし始める。
村から集落へ。
集落から街へ。
そして――人間と龍人族と魔獣が共に生きる、新しい国へ。
これは、世界を支配したいわけでも、人間に戻りたいわけでもない一頭のドラゴンが、
黒パン半分の恩返しから始めて、やがて竜王と呼ばれるまでの物語。
※カクヨムでも同タイトル作品を連載中です。本作はその物語をもとに、第1話から文章・構成・テンポを再構築した小説家になろう版です。