あらすじ
店主の神谷彼方は、本をこよなく愛する、どこにでもいる古書店主。
客の悩みに耳を傾け、人生に迷う者には一冊の本を薦め、時には温かい紅茶まで振る舞う。
彼にとっては、それだけのことだった。
だが、彼の本は、傷ついた令嬢を変え、孤独な老魔術師を救い、挫折した騎士の人生を立て直していく。
そして彼らは思う。
この男は、いったい何者なのか。
禁忌の知識を知り尽くし、神格級すら恐れる力を持ちながら、それを完全に隠している大賢者なのではないか。
本人は今日も知らない。
「いらっしゃいませ。何かお困りですか?」
ただ本を貸し、悩みを聞いているだけなのだ。
その何気ない一言が、やがて世界の運命すら動かしていくことも知らずに。