あらすじ
平凡な人生を終え、剣と魔法の世界《アルセリア》へ転生した男。目覚めた彼の右手には《勇者》の紋章が刻まれていた。
仲間を集め、世界を旅し、いつか魔王を倒す――。そんな王道の冒険が始まると思っていた。
しかし、最初に訪れた村で彼は思いもよらない事実を知らされる。
魔王は、すでに死んでいた。
しかも二十年前。勇者に討たれたわけでもなく、八十二歳で病死。魔王軍は解体され、人間と魔族は和平を結び、世界には平和が訪れていた。
それなら、なぜ今さら勇者が現れたのか。
王国に残された記録によれば、勇者が現れる条件はただ一つ。
――この世界に《魔王》が存在すること。
そして主人公が召喚されたその瞬間、同じ場所で新たな《魔王因子》が観測されていた。
勇者と魔王。
二つの存在が、同じ場所に、同じ時刻に現れた。
存在するはずのない魔王を探すため、主人公は世界を巡る旅へ出る。
滅びた王国。忘れられた地下都市。かつての魔王軍。歴代勇者の墓。そして、二十年前に死んだ魔王ヴァルグレインが残した謎の言葉。
『次の魔王は、魔族からは生まれない』
旅を続けるほど、勇者と魔王をめぐる歴史は少しずつ姿を変えていく。
なぜ魔王は生まれるのか。
なぜ勇者は異世界から現れるのか。
そして――なぜ自分は、この世界に呼ばれたのか。
これは、魔王を倒す勇者の物語ではない。
《魔王》とは何なのかを知る物語。