あらすじ
人間の「被虐反応」を、電力へ変換する。
そんな馬鹿げた研究から、すべては始まった。
近未来の日本。
国立研究機関で偶然観測された、わずか0.003kWの発電現象。
苦痛、羞恥、焦燥、期待、服従、そして快楽──人間の被虐反応によって生じるエネルギーを、電力として取り出せる可能性が発見される。
政府は研究を国家プロジェクトへ格上げし、「国立被虐エネルギー実証センター」を設立。
研究者だけでは解明できない被虐反応を扱うため、全国のSMクラブやM性感店から、現役の女王様やセラピストまで招集されることになる。
やがて被虐反応は分類され、出力は数値化され、適性検査が生まれ、ついにはそれを扱うための国家資格まで誕生する。
そして日本社会は、いつの間にか真顔でこんなことを議論し始める。
──M男は、発電資源になり得るのか。
科学は人間のすべてを測れるのか。
数値にならない感情に、価値はないのか。
人を理解することと、分類することは同じなのか。
くだらない発想から始まり、国家と科学と性癖が全力で間違った方向へ進んでいく。
マゾヒズムが国家のエネルギー資源になった近未来日本を描く、社会風刺SFブラックコメディ。