あらすじ
「正義」とは、いったい誰が決めるのだろう。
十四歳で祖国オーストリアを離れ、フランス王家へ嫁いだマリー・アントワネット。
華やかなヴェルサイユ宮殿。若きルイ16世との結婚。王妃としての栄華と、母として知った幸福――。
だがその陰で、飢えと貧困に苦しむ民衆の怒りは膨れ上がっていた。
やがて彼女は「浪費家」「国民の敵」「悪女」と呼ばれるようになる。
フランス革命。
自由、平等、そして民衆の幸福を求めて始まったはずの革命は、いつしか「敵」とされた人間の命を奪う恐怖政治へと姿を変えていく。
昨日まで処刑を求めていた者が、明日には処刑される。
広場に響く歓声。
血に染まる断頭台。
そして、人の死を待ち望む群衆――。
王政は本当に「悪」だったのか。
革命は本当に「正義」だったのか。
本作では史実をもとに、後世に「悪女」と呼ばれたマリー・アントワネットを、一人の少女、一人の妻、一人の母、そして最期まで尊厳を失わなかった一人の女性として描きます。
もちろん、彼女にも過ちや未熟さはありました。
ルイ16世にも、王政にも問題はありました。
そして革命を求めた民衆にも、そうせざるを得なかった苦しみがありました。
だからこそ問いかけます。
――正義の名のもとなら、人はどこまで残酷になれるのか。
すべてを奪われてもなお、最後まで凛として生きた悲劇の王妃。
これは「悪女マリー・アントワネット」ではなく、その名の向こう側にいた一人の人間を描く物語です。