あらすじ
一九四五年、沖縄。
米軍の砲撃を逃れ、十七歳の与那覇ウトは幼い弟キヨシとともに、住民や日本兵がひしめき合う、洞窟の壕に身を潜めていた。
住民たちは、その壕のことを「ガマ」と呼んでいた。
外に出れば照りつける太陽。しかし、洞窟の中で彼女を苛んでいたのは、逃げ場のない「暑さ」だった。
人がただそこに生きているだけで積み重なっていく、湿った、澱んだ熱。
喉の渇き、水を分け合う小さな駆け引き、崩れ落ちる砂、そして、幼い弟が繰り返す「あつい」という言葉。
そこへ、すべてを焼き尽くす橙色の熱が、ガマに流れ込んできた。
生き物を生かす熱と、生き物を消し去る熱。
ウトは、老女カマドの言葉の意味を理解する。