あらすじ
人は死ぬ。
かつては、それで終わりだった。
だが今は違う。
死者の人格を取り出し、人工の身体へ移す技術によって、人は死後も「再生者」として生き続けられる。
もっとも、彼らに人権はない。
企業に所有され、労働力として使われ、壊れれば処分される。
そんな再生者を終わらせる仕事――「終止官」。
ユウは、その中でも特に優秀な終止官だった。
人工身体のわずかな異常を見抜き、暴走した再生者を誰よりも早く仕留める。
再生者を人間だとは思っていない。
三年前、最愛の妹ミナは事故で死亡した。
死者を残せる時代でありながら、ミナだけは人格を取り出すことすらできなかった。
だからユウにとって再生者とは、死者を無理やり動かしているだけの存在だった。
そんなある日。
終止対象となった一体の老女型再生者が、ユウの顔を見て呟く。
「……ミナちゃん?」
ありえない。
その再生者とミナに接点などないはずだった。
なぜ、こいつが死んだ妹の名前を知っている?
老女が残したわずかな手掛かりを追い、ユウは違法修復師の旧友アオとともに、妹の死を調べ始める。
そして二人は、存在するはずのない過去を持つ少女――ナギと出会う。
死者は、本当に本人なのか。
記憶を変えられても、それは同じ人間なのか。
そして、大切な人を残したいという願いは、本当にその人のためなのか。
死者を終わらせる男が、死んだ妹の名前をきっかけに、自分がこれまで「人間ではない」と切り捨ててきた者たちと向き合っていく近未来SFサスペンス。