あらすじ
【不遇な支援職が、世界の法則を奏でる最強音楽家へ】
レベルとステータスが、人間の価値すら決める世界。
冒険者パーティ『暁の刃』に所属する少年ネロは、仲間たちを笛の音色で支える[バード]だった。
敵の動きを読み、仲間の呼吸を合わせ、魔力の乱れを整える――。
誰にも気づかれることのない《調律》によって、ネロは幾度となく仲間たちを勝利へ導いてきた。
しかし、鑑定水晶が示した彼のステータスは――。
【Lv.0】
【全能力値・測定不能】
その瞬間、すべてが変わった。
「俺たちが目指す領域に、貴様のような『ゼロ』の不純物を連れて行けると思うのか!」
かつて「お前の笛は俺が守る」と笑っていた幼馴染。
ネロの力を認めてくれていた仲間たち。
誰よりも信じていた彼らによって、ネロは『無能』の烙印を押され、パーティから追放されてしまう。
絶望のまま王都を離れ、魔獣の群れに襲われたネロ。
死を覚悟したその瞬間――世界から、すべての音が消えた。
時の止まった雨の中、彼の前へ舞い降りたのは、美しき女神モヒーニカ。
「可哀想に……よくここまで耐えましたね、愛しい我が子よ」
女神に選ばれたことで、ネロのジョブは失われたはずの伝説の職――
[選ばれし勇者(バード)]
へと変貌する。
レベルは、0のまま。
ステータスも、測定不能のまま。
だが彼の笛は、もはや仲間を補助するだけのものではなかった。
音を盾へ。
音を癒やしへ。
そして、音をすべてを断ち切る刃へ。
規格外の神術を手に、辺境で新たな生活を歩み始めるネロ。
――一方、その頃。
「不要なゴミ」を切り捨て、さらなる高みへ挑むはずだった『暁の刃』。
だが彼らは、致命的な過ちにまだ気づいていなかった。
これまで「完璧」だと信じて疑わなかった自分たちの連携が、一体誰の調律によって支えられていたのかを。
狂い出す呼吸。暴走する魔力。砕け散る絶対防壁。
かつての栄光は音を立てて崩れ去り、最強を誇ったパーティは、凄惨な地獄へと転がり落ちていく――。