あらすじ
「他人の定めた籠ではなく、自分の足で歩みたいのです」
巨大な関所で国境を縛り、民の移動を過酷に制限する九重幕府。逃亡を試みる者は「落人」と呼ばれ、血も涙もない関所狩りによって粛清される時代。
神霊を刃に宿す古族の生き残り「護剣巫女」の翡翠(ヒスイ)は、己の神事と刀が民を暴圧するための兵器として使われている事実を知り、幕府の神殿を破って出奔する。目指すは、すべての関所の向こう側にあるとされる最果ての「雲なき海」——。
逃走の途上、彼女が出会ったのは、かつて凄惨な粛清を重ねて心を病み、死に場所を探して彷徨う元・関所狩人の暗殺剣士・煉二(レンンジ)だった。
「俺の手は拭いきれん血で汚れている。……それでも、あんたの行く道を守るくらいならできる」
贖罪を背負う男の「無音抜刀」と、自由を求める巫女の「風詠みの神舞」。そこに街道の抜け道を熟知した調子の良い情報屋の少年・朔(サク)が加わり、不完全な三人のか細い逃避行が始まる。
待ち受けるのは、絶対の威容を誇る巨大関所、個性豊かなからくり兵や暗殺者たち、そして過去の血の因縁。
管理された平穏(檻)の中で生きるか。傷つくリスクを背負って己の足で歩く(自由)か。
幾重もの関門を斬り開き、見知らぬ明日へと駆け抜ける、本格和風アクション×逃避行ヒューマンドラマ。