あらすじ
明智光秀には、あまり語られない顔がある。
土佐の長宗我部元親との交渉窓口という、地味な役目だ。
三好家の崩壊で生まれた四国の空白に、元親が台頭する。
その関係を、光秀たちは何年もかけて丁寧に紡いできた。
だが天正9年から10年にかけて、信長は方針を繰り返し変え、光秀が積み上げてきた交渉の余地を一方的に狭めていく。
本能寺の変は、その先にあった。
四国政策の全てが原因だったとは言わない。
それでも、誰かが黙って積み上げてきたものが、上から覆された瞬間があったことは確かだ。
三好、長宗我部、明智、織田。
四国を巡る一つの交渉の齟齬が、これほど多くの人間の運命を巻き込んでいった過程を追う、歴史エッセイ。