あらすじ
刈葉 紅、十月 神奈、十月 舞那、神奈・E・葉の4人が暮らすアパート「My pace room」の日常から幕を開ける。近代都市と古き歴史が重なる京蘭市。美術品や歴史的資料の集積地である京蘭美術館では、館長の蘭原 紫苑の下で舞那が静かな情熱を燃やし、その妹である高校生・蘭原 綺羅は、裁縫部をアトリエ化する紅への対抗心を燃やして日々突っかかっていた。
平穏な日常の裏で、街の磁場が異変を告げ始める。人間の異能の酷使や未完成への絶望が生み出した形なき怪異――虚飾《ファサード》が、影を抱えた転校生・黒崎 澪の心の隙間を突いて市街へ溢れ出したのだ。澪が抱える未完の絶望と暴走する概念の結晶が、京蘭市の霊的法則を蝕み始める。
異能のコストやリスクに肉体を蝕まれながらも、紅は『血縫』で己を立て直し、神奈は甘みの概念で世界の理を糖化させ、舞那は『叡智』で敵の構造を看破。葉の冷徹な正論と『創作』による理の書き換えが加わり、一匹狼たちがそれぞれの距離感を保ちながらも、澪の救出と街の防衛のために共闘を選ぶ。蘭原家の血脈に隠された真理と美術館の地下に眠る核に迫る時、若き異能者たちの運命の歯車が静かに、そして激しく噛み合い始める。