あらすじ

「十年後、君を自由にする」 没落寸前だった伯爵令嬢リディアを救ったのは、冷酷と噂される公爵アルベルトとの契約結婚だった。 借金を肩代わりしてもらう代わりの結婚。 そう思っていたリディアは、結婚初夜、夫に告げた。 「あなたからは、何も欲しくありません」 アルベルトはただ一言、「わかった」と答えた。 それから十年。 夫はリディアに触れなかった。 愛を囁くこともなければ、誕生日を祝うことさえなかった。 穏やかで、不自由のない生活。 けれど夫婦らしいことは何ひとつない。 ――これは、最初から最後まで愛のない“白い結婚”なのだ。 そう思っていた。 十年目の結婚記念日の朝。 アルベルトは署名済みの離縁状を残し、屋敷から姿を消した。 『約束通り、君を自由にする』 たった一行の手紙だけを残して。 夫の書斎を整理していたリディアは、そこで今まで存在すら知らなかった隠し部屋を見つける。 扉を開けた先に並んでいたのは、十個の箱。 ――すべて、自分宛てだった。 十八歳。 十九歳。 二十歳。 結婚してから迎えた、十回の誕生日。 欲しかった本。 壊してしまったチェスの駒。 冬の日に見つめていた青いショール。 誰にも話した覚えのない、小さな願いまで。 そのすべてを、夫だけが覚えていた。 けれど。 「……どうして」 これほど自分を見ていた人が。 これほど長く自分を想っていた人が。 どうして、一度も渡してくれなかったのだろう。 最後の箱の中に残されていた一通の手紙から、リディアは十年前の結婚に隠されていた真実を知る。 これは、愛されていないと思っていた妻が、 十年間一度も愛を押しつけなかった夫の純愛を知り、 今度は自分の意思で彼を選び直すまでの物語。

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小説を読もう2026/09/13
  • 現在の作品夫の隠し部屋を開けたら、私への誕生日プレゼントが十年分並んでいました