あらすじ
お盆の実家に居場所はなく、逃げるように四国の離島にある古びたホテル『シーサイドオーシャン』へやってきた現場電工の青木直也(30)。
サビキ釣りでアジを爆釣させ、上機嫌でホテルへ戻った直也を待ち受けていたのは、ロビーで怒号を撒き散らす地上げ屋と、怯える客たちの不穏な空気だった。
「……あー、面倒くせ。やめたやめた」
関われば労災事故よりタチが悪いと察した直也は、1秒で回れ右を決めて自室へ退避。持参の強力ツッパリ棒でドアを固め、完璧な引きこもりを確定させた。
外は台風。完全に孤立した館。今夜12時、最初の事件が起きる――。
部屋から一歩も出ないのが安全なのは分かっている。
分かってはいるのだが――
「せっかく来たんだから温泉には入りたい」
「晩酌は部屋でやるとして、美味い飯はギリギリまで粘って食堂で食いたい」
欲望と意地が邪魔をして、結局フラフラと自室を出てしまう直也。
これは、保身とプライベートの充実を天秤にかけながら生き残りを図る、ある現場作業員のサバイバル記録