あらすじ
「クラリス。すまないが、私は君ではなく、妹のミレーユを選びたい」
五年間婚約していた侯爵令息アルマンからそう告げられた伯爵令嬢クラリス。
父は青ざめ、招待客たちは息を呑み、誰もが思った。
――姉妹の修羅場が始まる、と。
ところがクラリスは、隣に立つ妹へ尋ねた。
「ミレーユ。あなたは、この人と結婚したい?」
「まったく」
「そう。よかった」
その夜、姉妹はこっそり取っておいた葡萄酒を開けた。
「お姉様の婚約破棄に」
「あなたの婚約拒否に」
「「乾杯!」」
幼いころは仲の良かった姉妹を比べ、競わせ、「より優れた方が選ばれる」と信じ込ませてきた周囲の大人たち。
そして、自分を巡って姉妹が争っていると信じて疑わなかった婚約者。
けれど姉妹はもう、とっくに気づいていた。
――そもそも、あんな男に選ばれたいと思っていたのは誰だったのだろう、と。
これは婚約者に妹を選ばれた姉と、姉の婚約者に選ばれてしまった妹が、二人揃って「結構です」と笑って、自分たちの人生を選び直す話。